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今日なお生き続けるアーユルヴェーダ

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知らないともったいない奥深さ
今日なお生き続けるアーユルヴェーダ

アーユルヴェーダは最も古い医学体系として、発祥は5,000年前と言われることが多いです。人間と共に何かしらの医学が存在していたと考えれば、それくらい古いものかもしれないとも思います。一方で文献的には、紀元前5~6世紀には伝達可能な体系的な知識となっていたということですから、いずれにしても長い歴史があるものだということは言えるでしょう。

ここで、インド数学・インド占星術研究者である矢野道雄先生が著書『科学の名著 インド医学概論 チャラカ・サンヒター』の「はじめに」のところで書かれている文章を引用したいと思います。
”科学書の「古典」と呼ばれるもののほとんどは、その歴史上の役割を評価することはできても、「科学書」としての生命はすでに終えているのではないか、言いかえれば「科学の古典」は現代科学そのものに貢献することはないのでなないか、という疑問である。
~(途中略)~
ところが、『チャラカ・サンヒター』は個人の天才に帰せられるべき書物ではない。またその精神のみを学べばよいという古典でもない。実際この書の主題であるアーユルヴェーダと呼ばれるインドの伝統医学体系は今日なお生き続けている。
~(途中略)~
古典医学書が今なお生き続けているのは、そこに現代西洋医学と異なる体系 ―― 今はやりの言葉で言えばパラダイム ―― があるからである。
(科学の名著『インド医学概論 チャラカ・サンヒター』著・矢野道雄 より)”

古典でありながら現代も生きているというアーユルヴェーダ。私は、ここにすっかりはまってしまいました。

一方で、矢野先生はこうも書かれています。
“現代に生きているといっても、書かれた古典はやはり古典であり、書かれた時代の制約を受けている。

つまり、現代にすぐに活かしたいと思っても、古典書がサンスクリットで書かれ、その時代背景をベースに書かれているため、読むだけでも難しいものです。さらに、現代の私たちには感覚的に理解できなかったり、そのまま応用できないために、現代の科学に貢献するものではないと否定的になったり、制約を受けてしまうことがあるということです。

しかし、やはりアーユルヴェーダは今日なお生き続けていると想うのです。わかりにくいからといって立ち止まってしまうのはもったいないと思わせてくれるくらい、奥深さを感じさせてくれるのがアーユルヴェーダです。

そうは言っても、歴史も文化も人種も異なる日本で、古代インド(現在のインド、パキスタン・イスラム共和国、バングラディッシュ、ネパール、スリランカなどを含む南アジアのこと)発祥のアーユルヴェーダそのままを実践することは困難なことが多く、アーユルヴェーダが簡単に広がらない要因となっているところもあるでしょう。また、安易に日本人に合わせようとすれば、アーユルヴェーダの本質が失われるかもしれません。

そういった難しさを乗り越えるためには、サンスクリットの古典書に常に帰するしかないと想っています。
現代科学のパラダイムとはかかわりなく脈々と維持されてきた体系をそのまま理解することが重要なのではないかと想っています。そうやって理解することが、現代の社会や科学に役立つであろうと考えています。簡単なことではないのですがサンスクリットからアーユルヴェーダが少しでも理解できるようサンスクリット研究家としても活動してまいります。

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